相続手続きの流れや期限、必要書類をやさしく解説します!
「相続手続きの流れがわからない」
「相続はいつまでにどういった手続きをすればいいんだろう」
「相続手続きで必要な書類にどういったものがあるんだろう」
今回は、相続手続きの流れを徹底解説します。
相続が発生したときに、どういった手続きをすればいいのかわからない方は多いです。
しかし、この記事を読めばいつまでにどういった手続きをすればいいのかがわかります。
本記事の内容は以下についてです。
- 【期限つき】相続手続きの流れ9ステップ
- 相続の手続きに必要な書類
- 相続の手続きや必要書類で迷ったら代行を検討しよう
最後まで読めば、相続手続きの内容や必要書類についても理解できるでしょう。
近日、相続が発生するかもしれない方は参考にしてみてください。
【期限つき】相続手続きの流れ9ステップ
被相続人が亡くなってからの流れと手続きごとの期限は、以下のとおりです。
- 【死亡日から7日以内】死亡届の提出など
- 【死亡日から10日以内】年金受給者死亡届の提出など
- 【死亡日から14日以内】介護保険被保険者証の返却など
- 【死亡日から1ヶ月以内】口座凍結など
- 【死亡日から2ヶ月以内】遺産分割協議の開始
- 【死亡日から3ヶ月以内】単純承認・限定承認・相続放棄の判断
- 【死亡日から4ヶ月以内】被相続人の準確定申告
- 【死亡日から10ヶ月以内】相続税の申告
- 【死亡日から1年以内】遺留分侵害額請求の申請
順番に解説します。
1.【死亡日から7日以内】死亡届の提出など
死亡日から7日以内に行う手続きは以下の3つです。
- 死亡届の提出
- 火葬許可証の取得
- 埋葬許可証の取得
病院で医師により被相続人の死亡が確認されると、死亡診断書が渡されます。
死亡診断書とは医師が人間が死亡したことを法律的・医学的に証明するもので、死亡届と同様の紙に記されています。
上記右側の死亡診断書は医師が記入しますが、左側の死亡届は相続人や葬儀会社が記入しなければいけません。
記載方法で迷ったら、葬儀会社や市区町村の窓口で記入方法を教えてもらえます。
死亡日から7日以内に死亡届を市区町村に提出する必要があり、提出すると火葬許可証や納骨に必要な埋葬許可証を取得できます。
参照元:法務省|死亡届
2.【死亡日から10日以内】年金受給者死亡届の提出
次に、10日以内に年金の振り込みを停止する年金受給者死亡届(報告書)の提出が必要です。
年金受給者死亡届を提出しないと、被相続人の口座に年金が振り込まれ続け不正受給になってしまうからです。
不正受給すると、後日返還手続きをしなければいけないため手間がかかります。
年金受給死亡届は、市区町村の年金関係課で入手できます。
なお、日本年金機構に被相続人のマイナンバーが登録されていれば、年金受給者死亡届は提出する必要がありません。
被相続人のマイナンバー登録状況は地元の年金事務所で確認できるので、参考にしてみてください。
参照元:日本年金機構|年金を受けている方がなくなったとき
3.【死亡日から14日以内】介護保険被保険者証の返却など
死亡日から14日以内には、以下の手続きが必要です。
- 介護保険被保険者証の返却
- 介護保険資格喪失届
- 世帯主変更届(該当者のみ)
被相続人が65歳以上の場合、介護保険被保険者証を取得しているため市区町村の介護担当課に返却します。
介護保険被保険者証とは、市区町村から発行される65歳以上の方が自己負担額を抑えつつ介護サービスを受けられる証明書です。
介護保険資格喪失届も提出する必要がありますが市区町村の窓口にあるため、介護保険被保険者証を返却したときに窓口で記入し一緒に提出できます。
また、被相続人の世帯が亡くなった方を含め3人以上の場合、世帯主変更届の提出で世帯主を決める必要があります。
しかし、相続人の世帯が亡くなった方も含め2人だけの場合、原則残された方が自動的に世帯主になるため変更届の提出は必要ありません。
参照本:厚生労働省|介護保険被保険者証について
4.【死亡日から1ヶ月以内】口座凍結など
死亡日から1ヶ月以内に行う手続きに以下のものがあります。
- 国民健康保険証の返却
- 金融機関で被相続人の口座凍結
- 公共料金の解約や名義変更
- 葬祭費の申請(被相続人が国保加入者の場合)
- 生命保険金請求
死亡届を提出した時点で国民健康保険証は機能を失いますが、市区町村に返却しておくと丁寧です。
また、被相続人の口座は遺族が連絡しない限り凍結されません。
入院費用や葬祭費用の支払いが完了する死亡日から1ヶ月程度を目途に凍結するのがおすすめです。
また、公共料金の解約や名義変更もする必要があり、以下が代表例です。
- 電気・ガス・水道
- NHK受信料
- 携帯電話
- 運転免許
- クレジットカード
公共料金のほか携帯電話やクレジットカードの解約をする必要があります。
生命保険金の請求期限は3年であるため、該当者は受け取ることを忘れないようにしましょう。
5.【死亡日から2ヶ月以内】遺産分割協議の開始
死亡日から2ヶ月以内には以下の手続きを開始し、遺産分割協議を始めます。
- 遺言書の有無の確認
- 遺言書の検認
- 相続人調査
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の名義変更
遺言書がある場合、原則遺言書に沿って遺産分割を行います。
そのため、遺言書の有無は必ず確認しましょう。
遺言書がない場合、遺産分割協議によって被相続人の財産を誰がどのくらい相続するかを話し合います。
具体的には、被相続人の不動産を誰が相続登記するかなどを決めます。
6.【死亡日から3ヶ月以内】単純承認・限定承認・相続放棄の判断
用語 | 意味 |
---|---|
単純承認 | 被相続人の財産を全て相続する |
限定承認 | 被相続人財産をプラスの範囲内でマイナスの財産も相続する |
相続放棄 | 被相続人の財産を全て相続しない |
遺産は、相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内に承認・放棄などを選択しなければいけません。
ここで、被相続人に多額の借金やローンなどの負債があった場合は要注意です。
3ヶ月を過ぎると限定承認や相続放棄ができなくなり、被相続人の負債も強制的に引き継ぐことになるからです。
相続人によっては大きな負債を負ってしまう可能性があるため、3ヶ月以内に相続範囲の決定を必ず忘れないようにしましょう。
7.【死亡日から4ヶ月以内】被相続人の準確定申告
相続人が被相続人の確定申告を代わりに行うことを準確定申告といいます。
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。
本来の金額より少ない金額を申告したり期限を過ぎたりすると、延滞税や加算税などの罰金を支払う恐れがあります。
しかし、確定申告の手続きは複雑であるため、税務署に相談したり税理士に代行を依頼したりするのを推奨します。
全国の税務署は、下記の国税庁のページから参照できるため確認してみてください。
参照本:国税庁|国税局・税務署を調べる
8.【死亡日から10ヶ月以内】相続税の申告
相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。
相続税は課税価格が基礎控除以下の場合は原則申告が不要です。
遺産に係る基礎控除額=3,000万円+ 600万円×法定相続人の数 |
しかし、各種控除の適用を受けると課税価格が0円でも申告が必要になることがあります。
なお、令和4年に実際に相続税がかかった割合は9.6%程度です。
相続税の申告も複雑であるため、税理士に依頼することを検討してみましょう。
参照元:国税庁|相続税の申告と納税
参照本:財務省|身近な税について調べる
9.【死亡日から1年以内】遺留分侵害額請求の申請
遺留分侵害額請求権は、「相続開始および遺留分を侵害する相続または遺贈があったことについて知った日から1年」がひとつの期限とされています。
遺留分とは、一定の要件を満たす相続人の最低限度の遺産取得割合のことです。
ご自身が受け取るはずだった被相続人の預貯金や不動産収入などをほかの相続人が必要以上に得る不当利得も遺留分侵害にあたります。
また、被相続人から相続した不動産の所有権移転登記は原則3年以内が期限なので注意しましょう。
参照元:裁判所|遺留分侵害額の請求調停
相続の手続きに必要な書類
手続き名 | 具体的な必要書類 | |
遺産分割協議書作成 | ・被相続人の出生から死亡までの戸籍・被相続人の住民票除票と戸籍の附票・相続人全員の印鑑証明書と戸籍謄本・残高証明書を分割すべき財産一覧など | |
遺言書関係 | 公正証書遺言 | ・公正証書遺言の正本または謄本・遺言者の死亡が記載されている戸籍謄本・遺言書の住民票除票または戸籍の附票など |
自筆証書遺言 | ・自筆証書遺言書・申請書・本人確認書類・住民票(本籍と戸籍筆頭者の記載があるもの)・収入印紙など | |
秘密証書遺言 | ・遺言者の死亡が記載されている戸籍謄本・遺言書の住民票など | |
相続放棄 | ・相続放棄申述書・被相続人の住民票除票・相続放棄する方の戸籍謄本・収入印紙、切手など | |
不動産の相続登記 | ・被相続人の出生から死亡までの戸籍・被相続人の住民票除票・相続人全員の住民票と印鑑証明書・不動産の固定資産評価証明書・不動産の全部事項証明書・遺産分割協議書・不動産を取得する人の住民票など |
上記のように手続きごとに必要書類は異なります。
遺言関係の手続きで不動産も相続する場合は、不動産の相続登記の書類も追加で必要になることが多いです。
また、相続手続きや必要書類でわからないことがある場合、弁護士に聞くと解決できるためおすすめです。
相続の手続きや必要書類で迷ったら代行を検討しよう
相続手続きの詳細や例外をご自身で把握するのは簡単ではありません。
ご家族に適した相続手続きを把握するには、専門家に相談するのがおすすめです。
司法書士や弁護士へのお問い合わせを心がけてみましょう。
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